社長対談 メガチップスのダイバーシティとは社長対談 メガチップスのダイバーシティとは

佐々木 かをり氏 株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長 株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長 国際女性ビジネス会議実行委員会委員長 米国ニューヨーク州エルマイラ大学名誉文学博士 × 髙田 明 株式会社メガチップス 代表取締役社長佐々木 かをり氏 株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長 株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長 国際女性ビジネス会議実行委員会委員長 米国ニューヨーク州エルマイラ大学名誉文学博士 × 髙田 明 株式会社メガチップス 代表取締役社長

メガチップスでは、2015年度から、佐々木かをり氏が代表を務めるマーケティング・コンサルタント会社(株)イー・ウーマンの協力を得て「ダイバーシティの推進」に向けた社内教育・啓発活動を進めています。ダイバーシティについて幅広い知見をお持ちの佐々木氏と当社代表取締役社長の髙田明が、プログラムの進捗状況や今後の課題と展開、企業の求める人材像などについて語り合いました。

Theme1
ダイバーシティ推進の背景グローバル展開の加速にともない人材が多様化
佐々木
2014年12月、髙田社長が「ダイバーシティ推進」を全社に向けてアナウンスされ、当社がお手伝いをすることになりプロジェクトがスタートしたわけですが、まず、メガチップスがこの取り組みに着手した理由と背景をお聞かせください。
髙田
直接的な理由は、当社が近年、猛スピードで進めてきた海外展開にあります。私が社長になって5年が経ちますが、この5年間のM&Aによって当社の社員数は300人弱から900人へと急増しました。日本国内の社員は2倍以上になり、アメリカ、台湾、中国、インドなど海外拠点に勤務する社員も300人にのぼります。
売上比率も、以前の国内約100%から現在は海外が40%程を占めるようになりました。今後もグローバルに事業を拡大していく方針ですので、すべての社員に活躍してもらうためにも多様な文化や価値観を受け入れることは不可欠なのです。
佐々木
メガチップスは工場を持たない研究開発型のファブレス企業ですから、成長のためには社員がどれだけ実力を発揮できるかがポイントだと思います。急速にグローバル化が進み人材も多様化したことで、人の動かし方や関係づくりが複雑化するとともに、今までの働き方や人事評価などを変える必要が出てきたわけですね。
髙田
おっしゃる通りです。5年前までの当社は、少数の優良顧客とお取引をしており、そのすべてが日本企業でした。そこでの仕事の中心は、各社製品の心臓ともいえるLSIのオーダーメイド開発であり、お客様の懐に深く入り込んだ「ツーと言えばカー」の関係づくりが重要だったのです。
しかし、現在は多くのお客様に汎用的に提供できるLSI商品群も拡充し、顧客数は海外を含めて大幅に増えています。さらなる成長に向けて、設計・開発も営業・マーケティングも根本的に変えていなければなりません。
佐々木
変革を進めていくうえで何が重要だとお考えですか
髙田
日本国内の600人の社員が多様性を受け入れることです。海外拠点ではすでに多様化が進んでいます。アメリカにあるオフィスでは、社員はもちろん多民族ですし、台湾でもいまや女性が主戦力となっています。
それらの地域に比べ、日本は一つの「塊」のようになっていて、慣れ親しんだ自分たちのやり方や仕組みをなかなか変えられない傾向があります。
佐々木
外からの刺激を受けても、塊ごと一つのグループとして動くのでは意味がありません。ダイバーシティというのは、そういう塊がばらけて、一人ひとりが多様な個性を発揮していくことですから。
髙田
はい。メガチップスが今後生き残っていけるかどうかは、塊を成す社員がどう変わるかにかかっているのです。
なかでも鍵を握っているのは「マネジメント層と若手の間に位置するミドルマネジメント層」だと考えています。この層が多様性の必然性やメリットを理解することができれば、自ずと上と下に波及して企業が変わっていくはずです。
佐々木
ダイバーシティに限った話ではありませんが、新しい概念に触れたとき、頭では理解はできてもなかなか腹には落ちない、という人もいます。納得して動き出すためには、さまざまな刺激を受け、経験を積む、そして体感していくことが重要です。
髙田
今回のダイバーシティプロジェクトをはじめ、社員にとって刺激となるような機会を会社としても積極的に提供していくつもりです。
ただ、それらを通じて何を得るか、どう変わるかは、やはり社員次第です。当社は「自立3原則」として「経営」「事業」「社員」の自立を掲げていますが、社員には男性・女性を問わず自立した人であってほしい。自ら納得して行動してほしいと考えています。
写真:対談風景
Theme2
1年目を振り返って女性活躍プログラムを通じて社員の意識が変化
佐々木
今回のダイバーシティプロジェクトは、当初から3年~5年の長期的な視点で進めるという方針でスタートし、1年目の2015年度は「女性活躍」をテーマにしました。女性活躍とダイバーシティはイコールではありませんが、「女性活躍推進法」も成立し、ダイバーシティの大きなテーマの1つであることは確かです。
1年を終えて、髙田社長は社内の変化を感じていらっしゃいますか。
髙田
この1年、女性リーダー研修や中間管理職対象のマネジメント研修、佐々木様の主宰する「国際女性ビジネス会議」への参加など、さまざまなプログラムを実施していただきました。全社的な変化を実感するまでには至っていませんが、ダイバーシティに関する知識は多くの社員にインプットされたように思います。
個々の理解度は、男性社員についてはあまり見えていませんが、リーダー研修やワークショップに参加した女性社員にはそれぞれ気づきや発見があったと感じます。
佐々木
わずか1年ですから、何かが劇的に変わるわけではありませんが、ダイバーシティへの意識が高まっていることは、男女ともにフィードバックシートから、また今年2月に行った社員アンケート調査にも表れていますね。
社員の皆さんのコメントでも「研修を継続的に受けたい」「もっと多くの社員に受けてほしい」という声をいただいています。男性社員からも「マネジメントにおけるポイントがわかった」「自分の思考が整理された」「ダイバーシティは“儲かる”ことがわかった」などの感想が寄せられています。
髙田
私が感じているよりも、多くの社員が気づきを得てくれたのかもしれませんね。
佐々木
そうなんですよ、皆さんの吸収力を感じました!
特に調査データで興味深かったのは、男性管理職の意識変化が大きかったことです。大阪・千葉の2カ所で各4時間ほどのワークショップを実施したのですが、若手よりも管理職の意識の変化率が高かったのです。ちょっと意外な結果でした。
髙田
若手は開発部門であれ管理部門であれ、シングルタスクに近い仕事が多いため悩みもシンプルですが、ミドルマネジメント層には上も下もいて、組織としても結果を求められます。日々いろいろな悩みに直面していますから、少しでも悩みの解決につながるものを感じれば、メリットを受け入れられるのだと思います。研修が気づきにつながりやすいのでしょうね。
佐々木
まず気づきがあって、経験が積み重なることで、頭でわかったことが腹落ちして行動に結びついていくのだと思います。研修やワークショップを通じてさまざまな考え方に触れることで見る世界も変わり、脳がストレッチするのです。
髙田
その意味では、今後も引き続きダイバーシティを促進するために女性活躍に取り組み、より多くの社員に経験の場を提供していきたいと思います。

メガチップスにおけるダイバーシティ推進への取り組み

2014年
6月~
社内ダイバーシティ推進委員会(プロジェクト名FIORE)の提言
イー・ウーマン社とアドバイザー契約締結
2014年
12月
髙田より全社へダイバーシティ推進を宣言
2015年
1月
第1回ダイバーシティに関する意識調査
5月
佐々木かをり氏講演
「ダイバーシティが成長のキーワード」(対象:部長)
7月
国際女性ビジネス会議にダイバーシティパートナー企業として参加
(髙田社長+社員有志が同会議に参加)
※2015年8月28日 女性活躍推進法が成立
9月
パネルディスカッション
各社ダイバーシティ担当者 × 佐々木かをり氏 「ダイバーシティ推進を事例で学ぶ」
11月
女性リーダー研修2日間(管理職手前の女性社員対象)
12月
ダイバーシティマネジメント研修(対象:課長)2カ所
2016年
2月
第2回ダイバーシティに関する意識調査
写真:対談風景
Theme3
2年目のテーマと今後の課題日本と海外の相互理解に向けて自立型人材を育成
佐々木
2016年4月からのプロジェクト2年目は、「多国籍企業としてのダイバーシティ」をテーマとする予定です。
メガチップスが海外に進出し、すでに外国籍の社員もいることから、海外のマルチな文化を持ついろんな企業の事例を学びながら、1年目とは違う角度でダイバーシティを考えるための刺激を与えていきたいと考えています。
髙田
はい。そこはまさに、当社の課題となっている部分ですので、進めていきます。
海外拠点の社員と国内の社員がチームを組むケースも増えていますが、言葉や慣習、文化が違いますから、やはりコミュニケーションギャップが生まれており、それを埋めるためにお互いがエネルギーを消費しているようです。
佐々木
海外拠点と国内のコミュニケーションが上手くいけば、社員一人ひとりがもっと本業に集中してスピーディに仕事ができ、成果につなげられますよね。逆に上手くいかないと企業成長を阻害しかねません。
髙田
そのときに大切なのは、「ビジネスを成功させる」という共通目標を達成するための最適解を一人ひとりが考えることだと思います。
コミュニケーションが上手くいかないときは、それぞれ言い分があるでしょう。ただ、何を良しとするか最終的に決めるのはお客様であり、マーケットです。日本のお客様なら日本のやり方を尊重すべきだし、アメリカのお客様なら日本側が従来のやり方をアジャストする必要があります。
佐々木
グローバル化を見据えると、やはり人数が最も多い日本国内での社員の意識変革が重要ですね。海外拠点のマネジメントを招いて日本の社員と対話してもらうなど、相互理解に焦点を当てたワークショップを設けてもいいかもしれません。
たとえば、日本人同士のコミュニケーションだと自分の能力や仕事ぶりをアピールする機会は少ないと思いますが、海外では具体的、明確に伝えなければ認めてもらえませんから、そうした違いを認識でき、解決できる良い機会になりそうです。
髙田
日本語だと曖昧なニュアンスの会話も許されますが、英語なら主語やYes・Noを明確にシンプルに述べないと通じませんからね。
佐々木
当社のダイバーシティプログラムでも「I(アイ)ステートメント」といって、自分が考えていることを自分が主語となって語る技術を学んでもらっています。
私は、多様性とは一人ひとりが独自の視点で組織に貢献すること、つまり「一人ひとりの粒が立つ」ことだと思っています。そのためには、自分は何を考えているのか、自分には何ができるかを、まとめ、言葉にして発信できることが必要なのです。
髙田
ますます自立性が求められるということですね。ビジネス環境もお客様も目まぐるしく変わり続けるなか、自分の頭で考えることなく手を動かすだけの人、言われたことだけやる人は、いずれ必要とされなくなるでしょう。
佐々木
私はこの1年間、社員の皆さんと接してみて、お一人ひとりの持つ可能性が非常に大きいことを実感しました。継続的に刺激や機会が与えられれば、どんどん成長されることと思います。
髙田
はい。先ほど申し上げたとおり「塊を成す社員」から、個々の力を発揮する社員に変わることが、当社のグローバル成長の鍵を握ります。当社社員個々の「自立性」を信じ、変化を確信しています。
佐々木
そのほかに、今後の課題だと捉えていらっしゃることはありますか。
髙田
時短勤務や在宅勤務など、多様な働き方を支援する各種制度の整備はまだまだ不十分だと思っています。すでに社員が育児・介護をしながら働くケースも出てきていますが、現在は個別に対応している状況ですので、早急に取り組んでいく予定です。
佐々木
私は、これからの企業経営の肝は、人事部門が、成長戦略に基づいて多様な働き方への対応や人材育成ができるかどうかだと考えています。
メガチップスにおいても、ダイバーシティ推進が企業経営に直結していることを髙田社長から強く発信し続けていただきたいと思います。当社も、さまざまなダイバーシティプログラムを通じて社員の皆さんを応援していきます。
髙田
これからもお力添えをお願いいたします。本日はありがとうございました。
写真:対談風景