経営方針
中期経営方針及び資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
更新:2024年6月21日
〔資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応〕
当社グループは、高い資本効率と健全な財務体質の両立を目指しており、市場環境・競争環境・成長機会などに応じて適切な経営資源の配分を行ってまいります。資本効率については、自社の資本コストを把握するとともに、資本収益性を評価する指標であるROEと市場評価に関する指標であるPBRを重要な指標として捉え、中長期の企業価値向上を図るべく資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。
当社グループの自己資本利益率(ROE)は2024年3月期では5.1%となっており、当社が認識している資本コストを若干下回る水準となっております。当社としては、自社が把握する資本コストを上回るROEの水準を8%程度以上として定め、中長期においてこの水準を超えるROEを達成すべく、引き続き資本効率の向上と中長期の経営戦略を着実に実行し収益性の向上を図っていく考えです。また、資本効率の向上を図ることと投資家との対話を通じ当社の成長戦略について十分な理解を得ていくことで、株価やPBR等の市場評価を高めていくことが必要と考えております。
財務体質については、事業環境の変化に迅速に対応し、厳しい環境下においても経営の安定を維持し市場環境の悪化等のリスクに備えるため、自己資本の充実を図ってまいります。
また、企業価値・株主価値の一層の向上のため、当社グループが中長期に推進する各取り組みの方向性の概要は次のとおりです。
- 成長戦略
下記の〔中期の取り組み〕に沿った施策を進めてまいります。中長期の持続的成長に向けて、アミューズメント事業とASIC事業の事業基盤を強化すること、通信事業などの新規事業の立ち上げを進めることで、収益性の向上と事業ポートフォリオの強化を図ってまいります。 - 財務戦略
事業構造転換や新規事業育成による中長期の成長を支えるため、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう健全な財務体質を維持します。また、下記方針を基本として積極的かつ安定的な利益還元を実施し、あわせて資本の効率化を図ってまいります。
・剰余金の配当については、中期的な経営状況の見通し等を考慮の上、親会社株主に帰属する当期純利益(特殊要因を除くこともあります)の30%以上に相当する額を配当金総額として決定いたします。
・資本効率向上のため、市場の状況、株価動向、財務状況等を勘案し、機動的に自己株式を取得いたします。 - 人材戦略
人権と文化が尊重され多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、人材開発を当社の重要課題のひとつとして捉えております。従業員の活躍の場と成長の機会を提供するための施策やダイバーシティを推進、創業者設立の財団において給付型の奨学金を支給する他、エレクトロニクス業界の未来を担う若者に向けた様々な人材育成支援に取り組んでまいります。 - IR活動の充実
機関投資家との個別のIRミーティング等のコミュニケーション機会を充実し、経営戦略等について建設的な対話を推進し理解を得ていくとともに、対話から得られた意見や要望を社内で共有し、今後の取り組み検討にも活用いたします。また、当社のウェブサイト等において、非財務情報についても積極的に発信し、投資家との対話の材料となる情報の提供に努めてまいります。
〔中期の取り組み〕
当社グループは、これまで培ってきた独自技術と、他社の独創的な最先端技術やノウハウとを融合させることで、より付加価値の高い製品やサービスの創造に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供しております。
今後の中長期においては、ビジネスモデルの異なるアミューズメント事業、ASIC事業、通信事業のそれぞれの特徴を活かした3事業による事業ポートフォリオを強化し、収益の増加と安定化を図ります。さらに、次世代を担う新たな事業の育成にも注力し、事業構造改革を継続してまいります。また、国内や海外の大学との最先端技術の共同研究開発を推進し新たな技術開発に取り組むことや、米国で立ち上げたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用により、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進することで、新規市場の開拓や新規製品の開発に取り組んでまいります。これにより、新たな事業の芽を作り、独自性のあるビジネスの創出と事業化につなげていく考えです。
- アミューズメント事業
主力事業であるアミューズメント事業においては、引き続き顧客密着型の提案活動とサポート活動に注力するとともに、次世代ゲーム機のビジネス獲得に向けて万全を期して準備を進めます。また、製品の安定供給のため、パートナー企業や製造委託先等との情報連携や生産体制の強化を図り、サプライチェーン全体を盤石なものとするための取り組みを継続いたします。顧客密着型のビジネスモデルにより、さらなるサービスの向上に努め、引き続き主要なサプライヤーとしての地位を確実なものとし、安定した売上と収益の確保を目指します。 - ASIC事業
ASIC事業については、これまでの主力であったコンシューマ機器分野やOA機器分野等を中心とした事業展開に、成長ターゲットとして産業機器分野に通信インフラ分野を加え、引き続き事業の拡大に取り組みます。今後は、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器・FA機器・通信インフラ機器向けの製品開発を進め、順次量産化してまいります。国内に加え海外における市場開拓とビジネス獲得にも注力し、中長期における継続的な増収増益を目指します。 - 通信事業
通信事業においては、中期における本格的な量産開始を目標として事業の立ち上げに取り組んでおります。具体的には、無線通信技術のIEEE標準規格である「Wi-Fi HaLow™」のトップ企業であるオーストラリアのMorse Micro PTY. LTD.(以下、Morse Micro社という)との戦略的提携による事業化を進めております。この通信事業においては、当社がこれまで培ってきた有線通信技術と、約1kmの非常に長い通信距離と低消費電力を実現したMorse Micro社の無線通信技術によって、LSIやモジュールを提供し顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を進めております。ターゲットアプリケーションは、ホームネットワーク分野やファクトリーオートメーション分野での建物内外の敷地全体における通信、音声トランシーバ、ドローンとのインターフェース、無線監視カメラネットワークなどです。顧客のアプリケーションに応じたサービス実現に貢献する幅広いソリューションを提供するとともに、国内外の新規顧客開拓に注力して、早期の販売実績の積み上げを目指します。